親世代と子供世代のぺアローンに関するギャップ➡ぺアローン利用は収入が低いからでも家が高いからでもない

ぺアローンは危険?

2025年6月18日の日経新聞にこのような記事が掲載されました。

「夫婦で住宅ローン」4割、過去最高水準 2人で40〜50年返済も

夫婦がぺアローンを借りて住宅を購入している割合が、4割を超えたという内容です。

ぺアローン(もしくは連帯債務)は、夫婦がどちらも債務者になり、共有名義で住宅を買うための住宅ローンです。夫だけではなく妻も借金を背負い、家と土地の名義を共有にします。

この記事のニュアンスに違和感を覚えるのは筆者だけではないでしょう。正直なところ、この記事を書いた記者は中高年男性なのかな・・・と想像できてしまいます。

ぺアローンが増えている背景には、住宅価格の高騰があります。夫一人だけの年収では十分な額のローンが借りられないため、妻の助けも必要になった・・・という事情があります。平均年収の低い地方都市では特に、ぺアローンでなければ新築住宅を購入するのは極めて難しいのが現実です。

これを聞いてどう思ったでしょうか?

「ぺアローンなんてありえない!」

「ぺアローンは危険!」

「住宅ローンは夫が単独で借りるのが当たり前!」

そう脊椎反射的に考えた人は、おそらく40歳以上の世代でしょう。

いま、ペアローンを選択する理由に変化が見られます。

収入に関係なくぺアローンを選択するZ世代の夫婦

現在、住宅購入者のメイン年齢層は、Z世代に移ろうとしています。

筆者のFP相談でもZ世代、特に2000年以降の生まれの夫婦が増えています。2000年生まれは2025年現在、25歳です。これから5年後、10年後にかけて、住宅購入者の大半はZ世代になります。

まだ年収が低い年齢なので、当然ぺアローンでなければ住宅を購入することはできませんが、それとは別に、この世代にとっては「共有名義が当然」になっています。

考えてみれば不思議ではありません。

「住宅ローンは夫が一人で借りるもの、だって男なんだから!」という感性は、Z世代でなくとも、現代ではちょっと痛々しく映ります。

もし夫が単独ローンで買ったとしても、妻が住宅ローンの返済に協力しているのは間違いありません。それなのに家と土地の名義に妻の名前がないというのは、人権的に軽く見られていると感じてもおかしくありません。

妻も働いて自立しているのに、まるで夫に家を買ってもらったかのように感じて暮らすのは、かなり古い感覚でしょう。

10年後の2035年には、おそらくぺアローン利用は8割を超えるのではないかと筆者は想像しています。

これをマスコミが収入や建物価格の高騰と結びつけて、不安な社会問題と決めつけるのはちょっと違うかなと思います。

親世代は子供世代のぺアローン利用に口を出すべきではない

Z世代の親世代は、2025年現在、50歳代がメインです。

就職氷河期世代でもあり、好景気を経験していない戦後初めての親世代です。お金に対する不安感が強いのが特徴です。

そのため、子供夫婦がぺアローンで住宅を購入しようとすると、口を出したくなります。

「ぺアローンは危険だ」「離婚したらどうなるんだ」「そもそも家が高すぎる」などなど・・・

FPとしてその光景を目的することも多いでのですが、世代間ギャップが露骨で不穏な気持ちになります。

口を出すならお金も出すべきであって、それができないのに子供世代の決断にイチャモンをつけるのは無神経でしかありません。親もまだ子離れできていないのでしょう。

親世代はペアローンを悪者にしたい人が多いのですが、もう時代が違うのだと理解すべきです。

ぺアローンのリスクについて

とはいえ、ぺアローンにはリスクが存在します。

  • 年収が低いという理由でぺアローンにした場合、離婚時は家を失う
  • 団信の加入の仕方を間違えると、どちらかが大病したときに返済できなくなる
  • 返済能力を超えた借り入れをしているケースがある
  • 共有名義を単独名義に変更するのは、かなり高い年収が無ければ不可能

この4つのリスクは、住宅専門のFPが緻密なシミュレーションをし、リスク対策をしなければなりません。

必ず住宅専門のFPに相談してから決断してください。

ぺアローンを借りる時、生命保険の見直しは単純にはいかない

ぺアローンのリスク対策として、生命保険の見直しが必要です。

しかし、そもそもペアローンを借りた時にどのようなリスクが存在するか、保険の営業マンが理解できていないケースも多いです。

「家を買ったときに保険ショップで保険を見直しました!」と言う夫婦の保険内容を拝見すると、なぜこういう設計になるのか?と驚いてしまうことが多々あります。

すぐにまた解約し、入り直しするケースも少なくありません。

家を買う時の保険の見直しは、住宅ローンの借り方や購入する建物の仕様などによってリスクが異なるため、FPにとってもかなり難しい作業です。

保険の見直しは住宅専門FPにご依頼ください。