マイホームの購入は、人生で最も大きな買い物の一つです。その負担を少しでも軽くするために、国や自治体は様々な公的支援制度を用意しています。
特に2025年は、「省エネルギー性能」が高い住宅ほど手厚い支援を受けられる傾向がより一層強まっています。
この記事では、2025年7月時点で利用可能な「補助金」「住宅ローン減税」「贈与税の非課税措置」という3つの柱を中心に、賢く住宅を取得するための最新情報を分かりやすく解説します。
これから住宅購入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
【補助金】最大160万円!「子育てグリーン住宅支援事業」
まず注目したいのが、新築住宅の取得やリフォームに対して直接的な補助金が受けられる「子育てグリーン住宅支援事業」です。
これは2024年の「子育てエコホーム支援事業」の後継制度にあたります。
名称に「子育て」とありますが、新築購入の場合は世帯の要件なく、全ての人が対象となるのが大きなポイントです。
補助額は、住宅の省エネ性能に応じて3つのランクに分かれています。
住宅の種類 | 補助額(上限) | 主な要件の例 |
GX志向型住宅 | 160万円/戸 | ZEH基準を上回る性能+太陽光発電など |
長期優良住宅 | 80万円/戸 | 耐震性・省エネ性など国の認定基準をクリア |
ZEH水準住宅 | 40万円/戸 | 高い断熱性能と省エネ設備を導入 |
押さえておきたいポイント
- 申請は早い者勝ち この制度は国の予算に基づいており、上限に達し次第、受付が終了してしまいます。2025年7月1日から第3期の申請が始まっていますが、人気のため早期に締め切られる可能性があります。利用を検討する場合は、登録事業者に早めに相談しましょう。
- 対象事業者との契約が必要 補助金の申請は個人ではなく、国に登録された建築会社や不動産会社(登録事業者)が行います。契約を検討している会社が登録事業者であるか、事前に確認することが重要です。
【税金①】最大の節税策「住宅ローン減税」
住宅支援の代表格ともいえるのが「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」です。
住宅ローンを利用して家を購入した場合、年末のローン残高の0.7%が最大13年間にわたって所得税や住民税から控除されます。
2025年も制度は継続していますが、ここでも省エネ性能が控除額を左右します。
住宅の種類 | 借入限度額(2025年入居) | 年間最大控除額 |
長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 31.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 24.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 21万円 |
その他の住宅 | 0円 | 対象外 |
注意点
2025年は「省エネ基準適合」が減税対象の最低ラインです。
2024年以降に入居する場合、省エネ基準に適合しない「その他の住宅」は原則として住宅ローン減税の対象外となります。建売住宅などにおいて、性能基準に達しておらず減税対象外の物件が売れ残っているケースがあり、要注意です。減税分の金額以上の値引きがなければ決して買ってはいけません。
物件選びの際は、省エネ性能を示す「BELS(ベルス)」評価書などで基準をクリアしているか必ず確認しましょう。
子育て・若者夫婦世帯にはさらに手厚い優遇が!
19歳未満の子を持つ世帯や、夫婦のどちらかが40歳未満の世帯が2025年に入居する場合、減税額の算定基準となる借入金額が、以下のように増額されます。
- 長期優良住宅: 4,500万円 → 5,000万円
- ZEH水準省エネ住宅: 3,500万円 → 4,500万円
- 省エネ基準適合住宅: 3,000万円 → 4,000万円
この優遇措置は、家計負担の大きい若い世代にとって非常に大きなメリットとなります。
ただし、税額控除の制度であるため、「税金を払っていなければ減税も受けられない」ことに注意が必要です。
扶養家族が多く、支払っている所得税が少ない場合、長期優良住宅を購入したとしても減税額は増えません。
【税金②】親からの援助も追い風に「贈与税の非課税措置」
親や祖父母から住宅購入の資金を援助してもらう場合に活用したいのが「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」です。
この制度を使えば、最大1,000万円までの贈与が非課税になります。
- 質の高い住宅(省エネ住宅など): 最大1,000万円まで非課税
- 上記以外の住宅: 最大500万円まで非課税
これは、贈与税の基礎控除(年間110万円)と併用できるため、質の高い住宅であれば合計で最大1,110万円まで非課税で資金を受け取ることが可能です。
自己資金を厚くし、住宅ローンの借入額を抑えたい場合に極めて有効な制度です。
【忘れずにチェック】お住まいの市区町村独自の支援制度
国の制度に加えて、各地方自治体も独自の補助金や助成金を用意している場合があります。
- 東京都「東京ゼロエミ住宅導入促進事業」: 都独自の高い省エネ基準を満たす住宅に最大240万円程度の助成。
- 移住・定住促進の補助金: 若者世帯の転入や、特定の地域への移住を条件に補助金を出す自治体も多数あります。
これらの情報は、自治体のウェブサイトで確認できます。「(市区町村名) 住宅取得 補助金」といったキーワードで検索してみましょう。国の制度との併用が可能な場合も多く、見逃せない支援策です。
2025年の住宅購入は「省エネ性能」が鍵
2025年7月現在の住宅取得支援は、省エネ性能の高い住宅が徹底的に優遇される仕組みとなっています。
- 補助金 「子育てグリーン住宅支援事業」で最大160万円
- 減税 「住宅ローン減税」は省エネ基準適合が必須
- 贈与 親からの援助は最大1,000万円まで非課税
- 自治体 独自の補助金も忘れずに
これらの制度を最大限に活用することで、数百万円単位で総支払額が変わることも珍しくありません。
しかし、制度ごとに申請期間や要件が細かく定められています。契約の期限、引き渡し時期の期限など、細かい要件があり、場合によっては支援策が使えないこともありえます。
記憶に新しいところでは、コロナ禍の時代に、半導体不足によって「便器」の納品が遅れたことがあります。便器がついていなければ、住宅は「完成」の検査を受けても住むことができません。建物はほぼ完成しているのに引き渡しができず、施主は住宅ローンが始まっているのに引っ越しが出来ないため家賃の支払いが続き・・・現場は大混乱となったことがあります。
注文住宅の場合、出口(引き渡し)のところで不測の事態が起こることもあるのです。
住宅購入を成功させるためには、まずはこれらの支援制度の全体像を把握し、ご自身の状況に合ったものをリストアップすることから始めましょう。
その上で、住宅営業マンやファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、最適な資金計画を立てることを強くお勧めします。