【2025年最新】住宅ローン減税で住民税はいくら安くなる?上限額と計算方法をFPが徹底解説

  青森県八戸市十和田市三沢市の住宅fp相談なら長岡fp事務所合同会社 住宅ローン減税と住民税

「あれ?意外と少ない?」住宅ローン減税の還付金・・・

「住宅ローン減税を申請したのに、思ったより所得税の還付が少なかった…」 「所得税がゼロになったら、残りの控除額はどこにいくの?」

マイホーム購入の大きな味方である「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」。

しかし、その仕組み、特に住民税からの控除の仕組みと計算式については、意外と知らない方が多いのが現状です。

住宅営業マンでも間違えて覚えていたり、知識が古かったりすることが散見されます。FPも住宅専門でない限り、ほとんど知識がない部分です。住宅営業マンやFPが言っていたほど還付額が多くない、と苦言を述べる人も大勢います。

この記事では、2025年現在の最新制度に基づき、住宅ローン減税で住民税がいくら安くなるのか、その上限額や具体的な計算方法、注意点について、ファイナンシャルプランナーが分かりやすく徹底解説します。ご自身のケースでいくら減税されるのか、シミュレーションしながら読み進めてみてください。

住宅ローン減税の詳細については、過去の記事を参考にしてください。

住宅ローン減税の大原則|まずは「所得税」から控除される

本題に入る前に、住宅ローン減税の基本をおさらいしましょう。この制度は、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を、その年に納めるべき所得税から直接差し引く(税額控除)というものです。

その計算式がこちら。

住宅ローン減税額 = 年末の住宅ローン残高 × 0.7%

例えば、年末のローン残高が3,000万円の場合、その年の住宅ローン減税額は最大で21万円(3,000万円 × 0.7%)となります。この21万円が、まずはあなたの所得税から控除される、というのが大原則です。

厳密には、減税される可能性がある「枠」を持つ、という考えてください。

【本題】所得税で控除しきれない分は「住民税」から控除される!

では、所得税額よりも住宅ローン減税額の方が大きい場合はどうなるのでしょうか。

例えば、納めるべき所得税が15万円なのに、住宅ローン減税額(枠)が21万円だったケースです。

この場合、所得税から控除しきれなかった6万円(21万円 – 15万円)は、切り捨てられるわけではありません。この控除しきれなかった金額が、翌年度に支払う住民税から減税されるのです。

控除しきれなかった分は翌年の住民税から減税される

これが、住宅ローン減税における住民税からの控除ルールです。

【控除の流れ】

  • STEP1: 住宅ローン減税額を計算する
  • STEP2: まず所得税から控除する(所得税が0円になるまで)
  • STEP3: 所得税から引ききれなかった分を、翌年度の住民税から控除する

【超重要】住民税からの控除には「上限」がある!

「所得税から引ききれなかった分が、全額そのまま住民税から引かれる」と思ったら、それは間違いです。

住民税からの控除には、以下の通り明確な上限が設けられています。

住民税から控除される金額は、以下の2つのうち、いずれか少ない(小さい)方の金額となります。

  • 所得税から控除しきれなかった金額
  • 所得税の課税総所得金額の5%(最大97,500円)

つまり、どんなに所得税から引ききれない金額が大きかったとしても、住民税から減税されるのは年間最大で97,500円まで、ということです。

所得によってはそれ以下もありえます。

21万円の枠があるからといって、すべてを使い切れるわけではありません。そもそも扶養家族が多く、所得税の納付額が少なかった場合は、ごくわずかな額しか減税されません。

もし所得税の納付額がゼロだとしたら、いくらローンを借りようと減税額はゼロです。

ちなみに、上記の「課税総所得金額等」とは、年収から給与所得控除や各種所得控除(基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除など)を差し引いた後の、税率をかける前の金額です。源泉徴収票の「課税される所得金額」欄で確認できます。

3ステップで簡単!住民税からの控除額シミュレーション

ご自身のケースで計算してみましょう。お手元に源泉徴収票があると、より具体的にシミュレーションできます。

モデルケースの前提条件

  • 年収: 500万円
  • 家族構成: 夫婦+子1人(16歳未満)
  • 年末の住宅ローン残高: 3,500万円
  • 課税総所得金額: 190万円(※社会保険料控除等を考慮した概算値)
  • 所得税額: 92,500円(復興特別所得税を除く)

ステップ1:住宅ローン減税の総額を計算する

まず、その年の減税額の最大値を計算します。

3,500万円(年末のローン残高)×0.7%=245,000円

この年の住宅ローン減税の「枠」は245,000円です。

ステップ2:所得税からいくら控除されるか計算する

次に、この減税額を所得税から差し引きます。

モデルケースの所得税額は92,500円です。 減税額(245,000円)が所得税額(92,500円)を上回っているため、この年の所得税は全額控除され0円になります。

そして、所得税から引ききれなかった金額を計算します。

245,000円(減税額の枠)-92,500円(所得税額)=152,000円

この152,500円が、控除しきれなかった減税の枠です。

これが翌年の住民税から控除されると考えがちですが・・・ここからがややこしくなります。

ステップ3:住民税からの控除額を計算する

最後に、住民税からの控除上限額を計算します。

  • 所得税から控除しきれなかった金額: 152,500円
  • 課税総所得金額等の5%(上限9.75万円)と(課税所得×5%)の小さい方:

190万円(課税所得)×5%=95,000円<97,500円となり、95,000円が小さい額です。

この2つの金額(①152,500円 と ②95,000円)を比べ、少ない方の金額が住民税からの控除額となります。 したがって、このケースでの住民税からの控除額は95,000円に決まります。

【シミュレーション結果まとめ】

  • 減税総額: 187,500円
  • 内訳: 所得税から92,500円、翌年度の住民税から95,000円
  • 控除しきれなかった額: 57,500円(245,000円 – 187,500円) ※この57,500円は、上限を超えたため控除されず、消滅します。

このモデルケースでは消滅する減税枠は57,500円ですが、減税額がゼロだったということもありえます。たとえば所得が下がった、扶養家族が増えた、ふるさと納税をした、などが重なることで年収があっても所得税が課税されていないことがあるのです。

その場合は減税を受けることはできません。(税金を払ってないので減税もありません)

2025年最新!住宅ローン減税制度のポイント

2024年・2025年の制度では、特に「住宅の省エネ性能」と「子育て世帯」がキーワードになります。

住宅の種類借入限度額(子育て・若者夫婦世帯)借入限度額(一般世帯)控除期間
認定住宅(長期優良・低炭素)5,000万円4,500万円13年
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円13年
省エネ基準適合住宅4,000万円3,000万円13年
その他の住宅0円(※)0円(※)
既存住宅(中古)上記に準ずる3,000万円または2,000万円10年
  • 子育て・若者夫婦世帯の優遇: 19歳未満の子を有する世帯、または夫婦いずれかが40歳未満の世帯は、借入限度額が上乗せされます。
  • 省エネ性能が必須に: 2024年以降に建築確認を受ける新築住宅は、省エネ基準を満たさないと住宅ローン減税の対象外となるため、注意が必要です。建売住宅で減税が受けられない低性能の物件が売れ残っていることがあります。必ず減税対象か確認してください。

長期優良住宅の場合、最大5,000万円の借入限度額がありますが、減税を受けられるかどうかは自分の納税額によります。必ずしも多くの減税が受けられるとは限りません。減税目当てで長期優良住宅の仕様にする場合は要注意です。

よくある質問(Q&A)

Q1. 住民税からの控除に、何か特別な手続きは必要ですか?

A1. いいえ、特別な手続きは一切不要です。 会社員の場合、初年度に確定申告をし、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の手続きをすれば、所得税から控除しきれない金額がある場合は、市区町村が自動で計算し、翌年度の住民税額に反映してくれます。

Q2. 住民税が安くなったことは、いつ、どうやって確認できますか?

A2. 毎年5月~6月頃に勤務先から配布される「住民税決定通知書」で確認できます。 通知書の「税額控除額」や「摘要」といった欄に「住宅借入金等特別税額控除額」などの名目で、控除された金額が記載されています。所得税のように還付金として振り込まれるのではなく、翌1年間の住民税が安くなる形で恩恵を受けます。

Q3. ふるさと納税と併用すると損をしますか?

A3. 併用は可能ですが、損をする可能性があります。 ふるさと納税(ワンストップ特例制度を利用しない確定申告の場合)も、住民税を減らす効果があります。住宅ローン減税で所得税が0円になり、さらに住民税からも上限近くまで控除されている人がふるさと納税を行うと、ふるさと納税の控除額が全額引ききれず、自己負担額が2,000円を超えてしまう可能性があります。ご自身の控除額をよく確認し、シミュレーションサイトなどを活用して、ふるさと納税の上限額を把握することが重要です。

まとめ

住宅ローン減税における住民税からの控除は、所得税から引ききれない分を補う重要な仕組みです。最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 住宅ローン減税は、まず所得税から控除される。
  • 所得税から引ききれない分は、翌年度の住民税から控除される。
  • 住民税からの控除額は「所得税から引ききれない額」「課税所得の5%(上限9.75万円)」のうち、少ない方の金額
  • 2025年の制度では省エネ性能が必須。子育て・若者夫婦世帯は優遇される。
  • 特別な手続きは不要で、住民税決定通知書で控除額を確認できる。
  • ふるさと納税を併用する場合は要注意

住宅ローン減税の金額をシミュレーションする場合、将来の昇給分や子供の出産も含めて考えなければならないため、どうしても正確に計算できません。減税分を繰り上げ返済の原資にしたい、と考える人も多いのですが、確実な金額が分からない以上、その前提で家計を計算するのはお勧めできません。

必ず住宅専門のファイナンシャルプランナーに相談しながら、住宅購入の予算を決めてください。

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長岡FP事務所
長岡FP事務所合同会社、代表社員・FP 長岡理知。 Ethical Fiduciary Planner(倫理的フィデューシャリープランナー) 住宅専門FPとして経験は約20年。累計相談件数は5,000世帯超です。もうひとつの専門分野は生命保険。脳出血やガンなどの大病を患ったときの生活防衛や、老後資金の資産運用についてアドバイスしています。