「普通の人生」はどこにある?同質社会の日本で、「外れ値の人生」でも家は手に入るのか

  青森県八戸市十和田市三沢市の住宅fp相談なら長岡fp事務所合同会社 普通の人生とは

「普通の人生」なんて存在するのか?

「自分は『普通の人生』を歩めているだろうか?」

多くの人が、漠然とそんな不安を抱えているようです。筆者が行うFP相談では、こんな質問が非常に多くあります。

「住宅の購入予算はみなさんどのくらいなんですか?」

「みなさんどのくらいの年収なんですか?」

「他の家はどのくらいの貯金があるんですか?」

それを聞いてどうするのかと疑問に思いますが、どうやら自分と世間との乖離がどのくらいのものか気になるのです。

しかし、そもそも現代日本において「普通の人生」とは、どのような姿なのでしょうか。

「普通」という言葉を聞くと、ムキになって怒る人達が存在します。あなたと私の普通は違う!などと、別に誰も喧嘩を売ってないのに激怒するのです。おそらく世間との乖離に対する不安が強すぎて易怒性が強くなっているのでしょう。

そこまで人々を不安にさせる「普通の人生」。

そんなものないよと言いたいところですが、実は金融の世界の中では存在します。

「普通」という具体的なものがあるのです。

そして普通でなければ手に入らないものが多いのが日本社会です。

住宅購入者に見る、「普通の人生」とは

筆者は、新築住宅の購入を検討している夫婦に対して、ライフプラン相談を多数行っています。その数、累計5,000世帯以上。

何千万円もの住宅ローンを借りて購入する「住宅」という商品。

驚くことに、家を買えるような立派な世帯はどれも似通っているのです。それはこんな感じです。

夫の年収500万円

妻の年収320万円

子供は2人

夫の所有車は中古のワンボックスカー

妻の所有者は新車の軽自動車

預貯金 600万円

夫婦ともに転職の経験はなし、離婚経験もなし

夫婦の年齢差は2歳以内

結婚した時の年齢は、夫が26歳、妻が24歳

どちらも大病の経験なし

ぺアローンを利用

クレジットカードは年会費無料のものを使う

地方と首都圏では年収や自動車の所有などに多少の差はあるものの、他は驚くほどこのような家庭ばかりです。筆者は20代の頃、このような人生では全くなかったので、この普通の人たちが眩しくてかないません。

住宅を買うことが出来る若者夫婦は、日本全国でこのような構成をしているのです。平均というよりも中央値といった方が良さそうです。中央値でないなら、マジョリティです。生育環境でトラブルがなく、何事もなく高校や大学を卒業して就職出来たら、多くの日本人の人生はこうなるということです。

健康でいられる環境や運も必要でしょう。

これが銀行が住宅ローンを融資する時に想定している家族構成なのかもしれません。当然、住宅ローンの審査は超短期間で承認の答えが返ってきます。

もちろん、この普通を手に入れるためにした努力は相当なものでしょう。普通でいるのは並大抵のことではないのです。学校時代の勉強、部活、交友関係、就職してからの金銭管理、金銭感覚、そのようなものをあまり個性的にしない努力も必要です。

次に、このような家庭もごくまれにいます。

夫 年収900万円

妻 専業主婦(正規雇用の経験なし)

子供2人

夫の所有車 BMWのSUV

妻の所有車 普通車

預貯金 なし

借金 870万円(カーローン、フリーローン)

夫の転職歴 4回

夫婦の年齢差 7歳

夫の単独ローン

クレジットカードは年会費が高いプレミアムカード

こちらの家庭は傍から見ると華やかな印象があると思います。

しかし可処分所得は同じです。転職や努力を重ねて高収入を得るようになった夫は、自信にあふれ輸入車に乗るなどセルフイメージも高めなのだと思います。しかしながらいわゆる「普通の人生」「中央値の世帯」からは少し外れています。

借金額、預貯金額の差を考慮しても、前者と後者は同じライフプランになりません。妻が扶養で国民年金であること、年齢差が7歳あり夫婦がどちらも年金を受け取るまでに7年のタイムラグがあること、などから後者の方が家計は厳しくなります。

浪費癖もあり、預貯金を作ることは難しい状態。生命保険での積み立てを始めるけれど、貸付を受けるようになり最終的には数年で解約。家計はギリギリの状態で、子供の学費も貯まっていません。児童手当も大人手当に変わります。輸入車に乗っている場合ではありません。

収入が高くても、銀行では前者と後者は同じ金額の住宅ローンは融資しないでしょう。後者は銀行にとっては「リスクがある」世帯になってしまうのです。

「普通の人生」とは、お金を稼いだだけでは手に入らないようなのです。マイノリティに属する世帯は、住宅ローンは借りられず、まっとうな金融知識を得るための交友関係も乏しく、収入も先が見えないものです。ライフプランも立てづらく、高級なその月暮らしを続けて年を取ってしまうのです。

普通でなくてもいいけれど・・・

筆者の個人的な思いとしては、人の人生なんて人それぞれ、優劣はないと考えています。人の人生に駄作はないのです。

しかし普通の枠に入っていなければ、叶えられないものがあるのが日本社会です。

住宅購入、結婚、子供の大学進学、ボーナス支給、退職金、定期昇給、有給休暇・・・中央値から離れていけばいくほど、縁遠くなるものが増えていきます。

筆者は30代初めに会社員を辞めてから、安定した収入を毎月もらうことがありませんでした。普通の人生の人が手に入れるものが、何から何までありませんでした。それどころか、30代初めには2,000万円をこえる借金があり、返済に苦しみました。

結局、普通の人生とは真逆の、ネタに困らない激動の人生です。そんな筆者が、FPとして「普通の人生」の世帯の相談に乗る訳ですから、何か不思議なものを感じます。普通ではない人生を送った結果、サバイバルツールとしての金融知識は豊富にあり、アドバイスできるものが多いのですが・・・

普通の人生が羨ましいかと問われると、筆者は羨ましいと素直に答えています。外れ値の人生でも、それはそれで作風の違いと考えていますが、筆者には「中央値の人生」が眩しくて仕方ありません。

「普通の人生」と聞くと、すぐに怒り散らし、普通なんてどこにもない!と怒鳴る人は、実は自分は普通の人生を送る人達が羨ましいのだと認めた方がいいのではと思います。

普通でない人生の人が、持ち家を手に入れるためには

生育環境から20代の過ごし方が個性的であったため、普通の人生が叶わくなった人達は、いったいどうしたらいいのでしょうか。

人生が個性的でも、普通でもなくても構いませんが、普通の人生の人たちが手に入れるものが欲しい時もあります。

その最たるものが住宅です。1億円近い資産があるなら別に困ることはありませんが、住宅ローンを借りなければ手に入らないのであれば、個性的な人生の人には不可能に近い買い物なのです。副業や起業で一攫千金を狙うしかないのか・・・と思うかもしれません。

実はそこには秘訣があります。「外れ値の人生」の人が、普通の人に近づくための秘訣です。

  • 収入の安定化
  • 支出の削減
  • リスクヘッジ

この3つだけです。

この3つが抜け落ちているのです。

年収が350万円だとしても、それをかならず毎年続けることが重要です。配偶者がいるならやはり同じ年収を長年継続すること。できれば自営業は避けた方がベターです。

支出は極端に削減してください。年に数回の家族のイベントは大切ですが、趣味を含めて支出は抑えましょう。いくらスニーカーが好きでも、三足以上の所有は必要ないはずです。ビジネスホテルのあの小さなクローゼットのスペースに入りきらないような服の量であれば、買いすぎです。

地方の方であれば、夫婦どちらも軽自動車にしましょう。遠出する時にはレンタカーを借りれば済みます。中古車で十分です。

コストの高い交際は全てやめましょう。

他人との比較もやめましょう。

そして万が一のときにお金が無尽蔵に出ていかないように、保険には入っておきましょう。今どきは激安の保険がたくさんあります。月に5,000円程度の保険で十分です。また、失業した時にそなえて、雇用保険に入っているか確認しておいてください。もし自営などで雇用保険が無い場合は、やはり就業不能保険などで備えておく必要があります。

収入を安定させ、支出を抑え、守りを固める。たったこれだけです。預金残高が数百万円~1,000万円あり、収入が安定していたら、住宅ローンが借りやすくなります。

これを読んで「つまらないな」と思ったとしたら、実はそこに最大の人生の課題があります。

人の人生に駄作はない

誤解してほしくないのは、普通でない人生、外れ値の人生でも、決してダメではないということ。筆者も外れ値の人生です。

しかし外れ値の人生の人は、日本社会ではマイノリティです。メインストリームにいないため、実現できないことが山ほどあります。

それを受け入れるのは難しく、苦しいはずです。心のどこかで他人を羨ましいと思うのであれば、意地を張らずに、普通の人生に近づく努力をしてもいいはず。

お金の問題さえ整えば、普通の人が手に入れられるものは手に入るのです。ライフプランニングを専門家に相談することは、とても大切です。

無料fp相談
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長岡FP事務所
長岡FP事務所合同会社、代表社員・FP 長岡理知。 Ethical Fiduciary Planner(倫理的フィデューシャリープランナー) 住宅専門FPとして経験は約20年。累計相談件数は5,000世帯超です。もうひとつの専門分野は生命保険。脳出血やガンなどの大病を患ったときの生活防衛や、老後資金の資産運用についてアドバイスしています。