どこで保険に入るものなの?
「そろそろ生命保険に入りたいけど、どこでどうやって入ればいいのか分からない…」
「保険屋さんって、どこに行けば会えるの?」
人生の大きな買い物のひとつである保険。いざ加入しようと思っても、どこに行けばいいのか分かりません。かつてはそんな悩みはありませんでした。職場には昼休みになると勧誘の生保レディーがやってきて勧誘されたものです。また、学生時代の友人が保険会社に転職したとかで勧誘された人も多いでしょう。
でも2025年現在、「保険の勧誘を受けたことが一度もない」という人が増えています。生命保険が縁遠くなっている実態があるのです。
この記事では、保険の入り方を網羅的に解説していこうと思います。
保険の加入方法は、大きく分けて「保険会社」「保険代理店」「ネット通販」の3つがあります。それぞれに特徴やメリット・デメリットが異なります。
自分に合わない加入方法を選んでしまうと、「もっと多くの商品を比較したかった」「思っていたより保険料が高くなってしまった」といった後悔につながることもあるでしょう。
また、自分の理想とは違う加入方法を選んでしまい、不満とクレームを爆発させる人もいます。
まずは保険の入り方を知っておきましょう。
生命保険の加入方法 早わかり比較表
まずは、それぞれの加入方法の特徴を一覧表で見てみましょう。
| 加入方法 | 取扱商品数 | 保険料 | 金融の専門性 | アフター | 特徴 |
| 国内社 | 1社のみ | 割高 | △ | ◎ | 伝統的な日本の会社である |
| 外資系 | 1社のみ | 標準 | 〇 | ◎ | 合理的な保険設計が可能 営業の専門性が比較的高い |
| 乗合代理店 保険ショップ | 複数社 | 割と自在 | △ | なし | コスパのみを比較するなら最適 アフターはなし |
| 専属代理店 | 1社のみ | 標準 | ◎ | ◎ | 会計事務所や独立系FP事務所がこの形 専門性は最高 |
| ネット通販 | 複数社 | 割安 | × | なし | 保険に詳しい人向け 自己完結できる人のみ |
それでは、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
保険会社(直販)で加入する
保険会社の営業職員から直接保険に加入する方法です。保険業界では「直販」「一社専属」などと呼ばれます。かつてはこの方法しかありませんでした。
これは「国内生命保険会社」と「外資系生命保険会社」「損保系生命保険会社」に大別されます。
外資系と損保系は特徴が似ているため、損保系の解説はここでは割愛します。
国内生命保険会社
漢字の社名が特徴です。古くから日本で事業を展開している保険会社。全国各地に支社や営業所を持ち、通称「生保レディー」などと呼ばれる営業職員による対面販売を強みとしています。
メリット~経営規模の安心感
- ブランド力と安心感 長年の歴史と実績があり、社会的な信頼性が高いのが最大の魅力です。財務状況も良好です。
- 手厚いアフターフォロー 営業職員が定期的に訪問し、契約内容の確認やライフステージの変化に応じた見直しの提案など、きめ細やかなアフターフォローが期待できます。
- 豊富な商品ラインナップ 死亡保障や医療保障、介護、年金などを組み合わせたパッケージ型の総合保障商品を主力としており、一つの契約で幅広いリスクに備えられます。
デメリット~更新型の保険はいずれ高くなる
- 契約が更新型である 主力商品の多くは10年ごとに更新されるタイプで、かけ金が上がっていきます。老後は払えないほど高くなります。
- 割高である 外資系生命保険会社やネット通販にくらべ、圧倒的にかけ金が高い。
- 追加契約を頻繁に勧誘される 追加契約の勧誘は非常に多くあり、それが煩わしいことも。
外資系生命保険会社
海外に本部を置く保険会社ですが、日本で保険会社としての認可を受けた、日本の法人です。
ソニー生命のように、もともと日本の企業ではあるが外資系保険会社との合弁でスタートした保険会社も、外資系に分類されることがあります。
メリット~オーダーメイドの合理性
- 合理的な商品構成 死亡保障、医療保険、がん保険など、目的に応じた「保障のバラ売り」が特徴です。商品を営業マンが組み合わせて、オーダーメイドで提案することが可能。
- 専門性の高い営業社員 営業社員の多くは他業種からの転職です。銀行、証券会社などの金融機関の出身者から、自動車営業マンや広告代理店など営業のプロまで、多種多様なバッググラウンドの社員がいます。男性の比率が高いです。
- 保険金の支払い手続きが迅速 外資系生命保険会社の直販社員は、保険金・給付金の支払いを強い使命としています。保険金の支払い=納品として大切な業務として捉えています。そのため保険金請求手続きは非常に迅速で、担当者が全て手配してくれます。
デメリット~経営規模が小さい
- 国内生保と比べ経営規模が小さい 世界的には巨大企業であっても、日本法人だけをとってみると国内生保よりも経営規模が小さいです。支店、支社も比較にならないほど少数です。
- 吸収合併によって会社の消滅もある これまでも吸収合併によって日本法人が消滅した企業が多数ありました。米AIG系だったエジソン生命・スター生命はジブラルタ生命と合併して消滅、マスミーチュアル生命は日本生命に経営統合されニッセイ・ウェルス生命に、AIG系だったAIG富士生命は、香港FWDグループのFWD生命になるなど、外資系企業は経営母体が変わることが珍しくありません。しかしこれによって財務が安定することが多く、デメリットとは言い切れません。
- プレゼントは貰えない 生保レディーの場合、頻繁にお菓子やノベルティのプレゼントをもらえることがありますが、外資系ではその文化はありません。アフターフォローと称して頻繁に訪問してくることもありません。
乗合保険代理店
特定の保険会社に限定せず、国内生保・外資系生保問わず、複数の保険会社の商品を取り扱っている代理店です。
これには「訪問販売型」と「保険ショップ型」の2つの形態があります。
メリット~とにかくコスパ重視の人には魅力
複数の保険会社の商品を比較できることにつきます。一円でも掛け金が安い方を選びたいというコスパ重視型の人には、非常に向いています。
デメリット~保険金の請求手続きはできない
実は、コスパの比較は決して公平でも中立でもありません。かつて公平中立を謳い文句にしていましたが、当局からの指導でNGワードとなりました。実際には、保険会社から受け取る手数料の多寡や資本関係の有無によって優先的に推奨される商品が存在します。
比較は商品内容のみであり、顧客のライフプランについて傾聴し相談に乗ることはほとんどないか、あったとしても一般論に留まります。商品比較以上のアドバイスは期待できません。
また、乗合代理店の業務は、保険を販売することのみです。保険金や給付金の請求手続きを直接行うことはできません。申請書類を取り寄せるなどのお手伝いはできますが、基本的に万が一の時の事務手続きは契約者が自分でやらなければなりません。担当者からはコールセンターか保険会社のホームページを紹介されるだけと考えておきましょう。
外資系保険会社の保険に加入するとしたら、その会社の直販社員から入った方が保険金の手続きもやってもらえるため総合的なコスパがいいはずです。
専属代理店
特定の1社の保険会社の商品のみを取り扱う代理店です。
ただし保険会社の営業社員ではなく、独立した事業者です。ほとんどは個人ではなく法人です。
この形態の多くは、会計事務所や独立系FP事務所、プライベートバンカーなど、メインとなる業務がある事業者の取扱商品のひとつという位置づけです。
商品比較でコスパの追求をする人には向いていません。極めてプロフェッショナルな金融アドバイスの一環として、生命保険を提案してもらいたい人に向いています。住宅購入、資産運用、相続などのアドバイスをもらう延長で、保険を検討するスタイルです。そのため富裕層向けのサービスともいえます。
もちろん富裕層だけとは限りませんが、コスパよりもコンサルタントのアドバイスの質を求める人が顧客のほどんどです。安さだけを求める人には全く向いていません。
メリット~きわめて高い専門性
専門性が非常に高いことが特徴です。トータルなライフプランニングによって、リスク分析をするところから始まります。
その解決策をひとつの保険会社の商品だけを使って立案します。会社比較をしないのでコスパが悪いこともありますが、担当者の専門性の方が価値が高いと考える人に向いています。
商品比較がないためシンプルな検討になり、タイパがいいこともメリットでしょう。
デメリット~コスパはあまり考えてない
コスパを追求していないため、もっと安い商品が見つかることもあります。
ネット通販
インターネットを通じて、自分で情報を収集し、申し込みから契約までを完結させる方法です。
メリット~保険営業マンが嫌いな人には抜群
メリットは、担当者がいないことです。ここに尽きます。営業マンと接するのがストレスで嫌、という人には非常に向いています。
アフターフォローと称して追加契約を勧められることもありません。
契約して、やっぱり不要だと思えば気兼ねなくすぐに解約できることも魅力です。全てオンラインで完結するため、解約の申し出が気まずいということもありません。
デメリット~保険に詳しくないと無理
掛け金が安いイメージがありますが、コスパを比較すると決して安くはないことが多いです。
保険について職業レベルで詳しい人には向いていますが、知識が少ない人には全く向いていません。保障内容について正確に理解することが難しいはずです。
また、保険金の請求も自己完結が求められるため、家族も手続きに精通していなければなりません。高齢者の場合、自分で手続きができず諦める人もめずらしくありません。
後悔しないために、自分に合った加入方法を見つけよう
保険の加入方法は、それぞれに良さがあります。大切なのは、ご自身の知識レベル、ライフスタイル、そして何を重視するかによって最適な加入方法を選ぶことです。
- 大手の安心感・手厚いサポートを重視する → 国内生命保険会社
- 専門性の高い営業マン・オーダーメイド→ 外資系生命保険会社
- コスパ絶対重視・担当者は不要 → 乗合保険代理店
- 金融コンサルタントを担当者につけたい人→専属代理店
- 営業マンと関わりたくない→ ウェブ通販(ネット保険)
自分が理想とする加入方法と、加入場所を間違えると大変なことになります。
たとえば、金融について専門性が高い担当者を望んでいるのに、乗合代理店に相談したら、かなり不満を感じるはずです。
また、国内生保会社にオーダーメイドを求めても、そもそも自由に設計できません。その場合も不満を感じるでしょう。
このようにまずは自分が理想とする加入方法を考えておく必要があるのです。




























